ミッドナイト・キャナル

 翌朝──泉は、告げられた名前に眉をひそめる。

「アルジャン・ヴィセル?」

「かなり名の通ったナイトウォーカーだ。私の手の内もある程度、見通しているだろう」

 二人分のコーヒーを手に、リビングに戻ってきたベリルが応えた。

「……で、なんだってお前がここにいんだよ」

「バイトしばらく休んだから」

 しれっと健吾が発した。

「ここに泊まる気じゃないだろうな」

 リビングの入り口にある大きめのスポーツバッグを一瞥する。

「あなたと違って、僕は健全ですから」

 ベリルに小さく会釈して差し出されたカップを手にした。