午後8時──この時間の住宅街はとても静かだ。

 大きな家屋が建ち並ぶ一角にひときわ、大きな屋敷がある。

 警備員は常に5人、セキュリティは万全のこの家に住んでいるのは1人の老人。

「それで、その例の男はどうすると思う」

 老人は横柄な態度で目の前の男に問いかける。

 白髪は肩まで伸ばされていて、同じ色の髭(ひげ)は綺麗に整えられていた。

 険しい眼差しを、彫りの深い男性に向ける。

「必ず仕掛けてきます。それも真昼に」

「!」

 老人は応えた栗色の髪の男に驚きを見せた。