なんか、バイトしてる場合じゃない気がしないでもない──ホテルから出てアパートに帰る道すがら、健吾は真剣に考えていた。

「どうしようかな」

 歩きながらぼそりとつぶやく。

 ほぼ皆勤賞な僕は、

「少しくらい休んでもいいからね」と店長から優しい言葉をもらっている。

 体だけは丈夫で、病気らしい病気も今まであまりした事はない。

 とはいっても、油断すればすぐに風邪を引くので気を抜けないのである。

 アパートに到着し、ひとまず溜息を吐く。

 時計を見ると時刻はまだ午後の8時、バイト先の店はまだやってる。

 携帯を手にしてボタンを押した。