「!」

 叫んでしまいたい衝動にかられていた彼の肩を、誰かがトントン……と叩き、振り向いた先にいた人物にこれまた叫びを上げそうになった。

「き、君はさっきの……。!」

 驚く彼の前にサイフが差し出され、しばらく無言になる。

「ああっ!? 君が拾ってくれたのか!」

 ようやく理解して発すると、女性はまた無言で頷いた。

「あっ!? ちょ、ちょっと待って!」

 口を開かず去ろうとする彼女にハッとして、その左手を掴む。