「まあ戦争関係に一切、関わらない奴もいるが。例えば内戦があるだろ? それで集落に取り残された住民がいるとする。その救出があいつの主な仕事だ」

「!?」

「傭兵っていうのはビジネスだ。お前たちが想像もつかないようなことはいくらでもある」

 そう言って肩をすくめる。

「だからって……言ってくれれば良かったのに」

 悔しげな表情に泉は鼻で笑った。

「あいつにとっては、わざわざ言うことじゃないのさ」

「なんでっ!?」

「自分のことだからな」

「え……?」

「俺がそれを嫌がるなら言ってただろうけどね。俺も奴の考えにはおおかた同意してる」

「どういう意味ですか?」

 聞き返した青年を一瞥し、目を細めた。