一応、見本の写真があって、だいたい、どこに生えてるかは、知ってる。 でも、シュウちゃんの事でヤケになってる私は、山道の奥へと入った。 そんなに複雑な山じゃないし、葉の隙間から陽は差してるから、暗くはない。 「遭難しない程度にしとこ」 それにしても、山の空気って、冷たいのね。 こんなに静かで、気持ちのいい空気を吸ってると、何もかもが、どうでもよくなる。 「しばらく、ボーッとしてようかなぁ」 なんて思いながら、近くの倒れた木に、座り込んだ。