私は戸惑いを隠せなかった。 「行くべき人だから。ですよ。」 そういった直輝さんは、先ほどとは違って少し寂しそうに笑った。 「…?」 「さ。待ってますから。」 そう言って、背中を向けた直輝さん。 不思議に思ったけど、風に運ばれている春の香りが、私を誘った。 「…行ってきます。」 私はベビーカーをひきあるきだす。