「ん……ああ、それが分らんから厄介なんだ…」

「でしょう？これは人類初の快挙なのよ、超能力による殺人事件。あたし達は、そのステージに立つ事が出来るの。勿論、きっちり解決して見せるわ」

妙に盛り上がり拳でも付き上げるんじゃないかと言う勢いの亜矢子は既に自分で自分を見失っている。琢磨は思った。バケツの水でもぶっかけてやろうかと。

「ああ、そうかい。出来るもんならやってみろ。三遍回ってわんとでも言ってやるよ」

「あら、それだけ？お手とお座りと伏せもするのよ！いい、分った？」

びしっと指差す亜矢子の鋭い視線は、琢磨の心に向かって氷の鏃の様に突き刺さる。しかし、琢磨の心もやすやすと射抜かれるほど軟では無い無い。伊達に付き合いが長い訳ではないのだ。琢磨は亜矢子と付き合いが長くなるにつれて、心が鋼鉄の様に鍛え上げられて行ったのだ。

琢磨は亜矢子をちらりと見てから自分の足元に視線を落とし、再び視線を戻してから呟く様にこう言った。

「ああ、ついでに、ちんちん、でもつけるか？」