広い控え室の両開きのドアは、大きく開け放されていた。 演奏を終えた管弦楽部のメンバーが、ガヤガヤと荷物を片付けている様子。 そっとのぞいて、栞を探すと、栞の横に、男がひとり立っている。 男は楽しそうにしゃべってるようだが、栞は困ったような表情。 アイツが、村上先輩か? と、そのとき、ふたりの向こう側で、不愉快そうな表情で立っている菊地と、目が合った。 ちょうどいい。 俺は、そっと手招きして、菊地だけを呼んだ。