「さぁ、今日は、バレンタインの特別メニューだそうだよ。
さっそく頂こう」
カール王子が快活にそう言い、私たちは、食事を始めた。
食事中、カール王子はいろんな話をしてくれて、それはとても興味深かったんだけど。
やっぱり私は、リラックスはできなくて、正直、ディナーの味はよく覚えていない。
食事が済むと、大輔くんは早々に席を立ち、私を送っていく、とカール王子とお母さんに告げた。
「大輔をよろしく」
別れ際、カール王子に真剣な目でそう頼まれ、ドキドキしながらも「はい」とうなずくと、
私は大輔くんに手を引かれ、スイートルームをあとにした。


