ますますおだやかに気持ちになって顔をあげると、森さんは、かなり無遠慮に、じろじろと奈良坂くんを観察していた。 大輔くんはそしらぬ顔で紅茶を飲んでいる。 見られることには、もう十分すぎるほど免疫があるんだろうな。 私がそんな森さんを見ていると、目が合った森さんは、いたずらが見つかった子どものように照れ笑いした。 そして。 「奈良坂くんのことはね、いろんな生徒から聞いてたのよ。 でも、はじめまして、よね?」 森さんが大輔くんの顔をのぞきこむ。 大輔くんは「はい」とうなずいた。