じゃ、やっぱダメだな。 同じ大学に通いたかったけど。 でも、しかたないか……。 「あの、それでね」 電車に乗って、並んで座ったところで、栞の方から声をかけてきた。 「ん?」と顔を見ると、固い表情で前を向いたまま、話し出した。 「受験勉強しなきゃならないから、予備校に通うことにしたの」 「へぇ……」 「それで、あの……」 言いにくそうに、いったん口をつぐんだあと、意を決したように栞はこっちを見た。