かんぺきなあいつ。

なので俺は仕方なく春宮に続いて足を進めた。


まぁ、帰る方向こっちだしな。



「あんだけ部活中女子バスのコートちらっちらっ見ててさ。とぼけんなっつーの」


「見てねぇし」


「見てたじゃん。部活中の休憩中に」


休憩中、

休憩中…は、まぁ…


春宮の言う通りで言い返す言葉がなくて俯いた。



しばらくして図星、と前から聞こえ、なんかムカついた俺は顔を上げる。



「だったら何だよ!そんなもん人の勝手だろ!」


「うわー。開き直りやがった」



けらけらと少しの間笑っていた春宮は


満足したのか笑うのを止め不意にいきなり立ち止まる。





「…?」



あまりにも予想外の行動に思わず止まった俺の足。





「今日は弟が風邪引いたんだって」



そう言い振り向いた春宮はにやっとした笑みをうかべていた。



何言ってんだこいつ…

と、なんとなく分かっていながらも疑問の表情をうかべていると


「星」


と春宮がぼそっと呟き、やっぱりそのことかよと確信した。















「んなこと誰も聞いてねーし!」



数秒後、既に十メートルぐらい離れた距離にいる春宮に俺はそう叫んでいた。