かんぺきなあいつ。

「待たせといて名前呼ぶだけですかー?」


と、ふて腐れたような感じの空維に


「え!?なにー!?聞こえないんだけどー!」



俺の真後ろにいる女子は叫んでいる。


それが俺の鼓膜を容赦無く揺さぶり頭の中でガンガンと響き渡る。





…あー、もううるせぇ。


このままじゃ完全に鼓膜がいかれちまう。


そう思った俺は顔の向きだけを変え


「おい春宮!お前ちょっと黙れ!」


さっきからうるさい女子に向かって

同じくらいのボリュームで叫んでやった。





「…っ、うるっさ…。あんたが黙れ」


「お前はさっきからこのボリュームで俺の耳元で叫んでたんだよ!」



カッチーン、


春風のやつ、すんげぇムカつく…!



「あんたと話してる暇なんかないし。ほら、早く進んで。柚木でつっかえてんの」


「…〜っ!へーへー!分かりましたよ!」





自分のことを棚に上げんな、とかなんとか言い返したかったけど


後ろからも野次が聞こえてきたので言われた通り進む。


…悔しいけど。






つーか今さっき死ねっつったん誰だよ…!