かんぺきなあいつ。

どくん、


空維の目線は間違いなくこっちに向けられていて。


顔は平常心を保っている、つもりだけど


心臓はどんどん騒がしくなる。


周りにはたくさん人がいてざわざわしているのに、


自分の心臓の音がえらく馬鹿デカい。





…それにしても俺に何の用だろ。


本当に間違いなく空維はこっちにじーっと目線を送っていて、


俺は空維から目を離せなくなった。





ありえないって分かってんのに頭の中ではおめでたい想像が膨らむ。


いや、まさか…


まさか、な…















突然、あっという表情をした空維。


不意をつかれたように、どくんっと高鳴ったのは誰のでもなく俺の心臓。






















「美羽!」










…みわ?


















「星!」





そう声が聞こえたのは俺の真後ろからで、


ちらりと目線をやれば一人の女子が空維にむけて手を挙げていた。