「おいおい、やめろよ。
土方―――せんせ」
原田がとめに入ったが、いつものようにさん付けで呼んでしまいそうになるのを何とか堪えた。
「しっかし、俺達がてめぇらに勝てないだぁ?」
「言ってくれるね」
次々と闘争心に火を付けだす永倉達に、水をかけても納まらないことを知っている土方。
「おい、てめぇら。 ここは正々堂々試合で決着つけやがれ」
新撰組の副長として、剣道部の顧問としてそう言い渡した。
剣道部の面々からも、余程自信があるのか、反対意見がでない。
「えー。 土方さん、それじゃあ、相手にハンデいらないんですよね?」
「ハンデだと!!?」
「俺達をなめてんのか!?」
激昂する剣道部員達。
彼らは知らない。
目の前にいるのが、幕末に剣客集団として名をはせた新撰組。
それも組長格ばかりとは。
知らないよりも知っていた方が身のためだったのか、知らずに試合をするまで優越感に浸れた方がよかったのか。
どちらがいいのかは、疑問だ。
だが、彼らは後者を選んでしまった。
哀れにも。



