紫翠の風で切り刻まれた木の破片は取りあえず放置。
人が近寄らないよう不可視の結界でも廻らせておけば大丈夫だ。
「一君、どこまで行ったんだろう」
「さほど離れてはいまい。気を失った女を担いでいける範囲内だ」
確かに。
平常時にそんなことをすれば嫌でも人目をひく。
奏は近くに放られていたカバンを拾い上げ、歩きだした。
その横を紫翠もついて歩く。
離れろ、断るの言い争いを続ける二人を建物の中から見下ろす影が一つ。
「…………みーっけ」
ニャー
白衣を来たその影は二人の姿が見えなくなるまでその背を目で追った。



