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奏は一人、人気のない場所を歩いていた。
あれは、いつだったか。
まだ、星鈴という名前を頂いていない時か。
小さな童女が、自分に手を伸ばしてきたのだ。
………必要とされている。
そう思えた。
幾度も巡る年月を、少女の成長を見ることを楽しみにしてきた。
それがもう。
……叶わない。
もし、少女の守役にならなければ、主の一人、それも末妹の少女の言うこと。
聞き流しはできないものの、長兄なり、次兄なりに訴え出れば済むことだった。
だが、自分は仕えると決めた。
ローゼンクロイツ・天宮の末妹としてのミエにではなく、自らが唯一無二と定めた“リュミエール”に。
あの日、自分に光をくれた少女に。
…………嫌だ。
側にいさせて欲しい。
ただ、側にいさせてくれるだけで。
ただ、その日だまりのような笑顔を見れるだけで。



