「……あぁ、そうだ。ほら、お前らは早く行けよ。奏が待ってるぜ?」
「……うん。そうだね」
「今の話、奏には内緒にしておくよ」
「あぁ。ありがとな」
珠樹と沖田は池があるという方向に、足早に去っていった。
「………時ってもんは、残酷だよな?」
鷹がフッともらした言葉に、みんなは耳を傾けた。
あまりそんなことを日頃口にしない鷹なので、妙に現実感を伴っていた。
「経てば経つ程、思い出の方がでかくなっちまって、“今”がどうしようもなくもどかしくなる」
「だから“今”をもっといいもんにしようと頑張るんじゃねぇのか?少なくとも、俺達はそうだ」
「…………そうか」
少し離れた所から、澪ちゃんの嬉しそうな声が聞こえてきた。
月明かりが会場を明るく照らしている。
三つに別れた者達の、それぞれ歩く道もまた、明るく照らされんことを。
ただ、願うことしかできないけれど。
それでも。
願わずには、いられなかった。



