「響はですね。………鈴と一緒に不忍(シノバズ)の池に行きました」
「不忍の池?」
「それって何なんだ?」
奏は指で遠くを指差した。
「あっちに、少し小さな池があるんです。何でも、そこで恋人同士が将来を占えば、必ず当たるという眉唾な伝説が」
それで元老院に入れる日は、間違いなく恋人達はそこへ集まるのである。
「止めなかったのか?」
斎藤が少し不思議そうに言った。
よく邪魔をしなかったものだ。
「一君、あのねぇ。私だって悪魔じゃありません。人の恋路は邪魔しませんよ。……鈴に毒は盛るかもしれませんが」
これはまた。
たとえ実ったとして、鈴は苦労が絶えないだろう。
「ねぇ、奏ちゃん。僕達も行こうよ」
「沖田はともかく。行こう」
「行きませんよ?今日は澪ちゃんの誕生日です。何言ってるんですか」
「行ってきたらいいじゃない」
「え?」
意外にも、沖田と珠樹を援護したのはミエだった。
奏はきょとんしてミエを見た。



