「ほらよ」


「ありがとう!!かなでは?」




いつもならば、澪ちゃんの側についているはずの奏の姿はなかった。


大方まだ渋っているのだろう。


往生際の悪い奴。




「もうすぐ来ると思うわよ?」




ミエがゆっくりと菓子をたくさん積み上げた皿を持って歩いてきた。


奏が選んだドレスをしっかりと着せられていた。




「おい。ローゼンクロイツの姫が」


「あぁ。珍しい」


「銀の髪が黒のドレスによく映えてるわ」




囁きやがら交わされる会話を、何も気にすることはなかった。




「澪ちゃん、良かったね?彼らにまた会えて」


「うん!!」




澪ちゃんは純粋な気持ちで頷いたが、ミエはというと、苦虫をすりつぶしたように顔が引きつっている。




「あら!!ここにいたのね!?」


『げ』


「都槻はん、足早いでー。お!!みなさん、お揃いで!!楽しんでるやろか?」




第三課の濃い二人、都槻と秋津が現れた。


ニコニコと笑っているのは、澪ちゃんただ一人だけだった。