「蛇神様、怒りをお鎮め下さい。でなくば………祭ろわぬ神として、消滅していただかねばなりません」
「オモシロイ!!」
大蛇……堕ちた蛇神は、もはや理性も保たれていないようだ。
ただ、怒り、恨み、そういった感情に呑み込まれている。
「蛇神は水気。つまり、五行でいう水。……苦手なものは…」
「…………雷」
珠樹が呟いた言葉に、斎藤が重ねて言った。
奏はすでに、雷でできた蝶を作り出していた。
場違いだが、いつ見てもこの光景は美しい。
「蛇神様、申し訳ございません」
奏が右手を蛇神の方へ差し出すと、一斉に蝶が蛇神の体に舞っていった。
バチバチと、閃光が幾つも走り、蛇神は呻き声をあげてのたうち回った。
「……リュ…ャク…………マモ………」
最後に何かを呟き、地響きを立てながら地面に倒れ伏した。
奏はそっと近寄り、手を合わせた。
すると、蛇神はサアッと霧のように空気へと溶けていった。
神の末路。
一度は立派に祭られていた神。
その最期は、男に対する怒り、憎しみ、恨みに満ちたものとなった。



