「っユカリ……!」 彼の声に肩が揺れたのは一瞬、お構い無しに足はバタバタ動いてくれる。 逃げるように走って、振り向くこともなく走って。 だけど男のナオトよりもその速度が速いはずも無く、公園の敷地を出る前に私の腕はいとも簡単に彼に掴まれた。 「ユカリ、待てよ…」 「いやだ、離して」 離して離して、触らないで 腕を振りながら叫んでる間に、その声が鼻声だということに気付く。 風邪もひいてないのに可笑しな話だ。