失恋オブリガード






泣きつかれた私は、いつものように彼が作った朝食の匂いで目を覚ます。



少し重たいまぶたを擦ってリビングに向かうと、またいつものように彼がキッチンに立って笑っていた。




「おはよ」




あぁ良かったいつも通りだ、と。


心の中のどこかで、ホッとする私。




ただ一つ違ったのは



私が家を出るまで、彼が何も聞いてこなかったということ。




今日は何時に帰れそう?

今晩食べたいものある?






いつも何かある質問は、昨日私が喚いたからか一つもなかった。





ただ、「いってらっしゃい、気を付けて」と。




苦しくなるほど優しい笑顔を向けられた。