失恋オブリガード






「…もう、…離して…」




隙を見てナオトの手を振り払い、ぐしっと顔を荒く拭って




再び駆け出すと背後から同じように、地面を蹴った音がした。





「…っついてこないで…よ!」





思わず振り返った私に、また手を伸ばしてくるナオト。



その手はもう、どうしても愛しく思えなくて




「触らないでってば、バカ!!」





大声出して、コンビニ袋投げつけて


ポカリが当たったか何が当たったか知らないけど、「いたっ」と声を漏らしたナオトを無視して





お気に入りのはずのパンプスを泥だらけにして、私は逃げた。