グズ、と鼻をすすると、地面にポタリと水滴が落ちた。
その正体がバレたくなくて、思わず地面とにらめっこ。
なんでこんな所に電灯はあるの。無ければこんな濡れた顔、見られる心配なんて無かったのに。
くそぅ、くそぅ。
何もかも、タイミングが悪すぎる。涙の理由はそれで十分。
「ユカリ、さっきのは…」
「いい、何も言わなくて」
聞きたくないよ、他の女に愛を伝えた君の声なんて。
耳が拒否して、鼓膜がパーンってなりそうだから。
聞きたくないよ、言い訳も誤魔化しの言葉も……別れ話も。
全身が拒否して、心がパーンってなりそうだから。

