「…………はぁ…」




結局、悩んだところで何の結論も出なさそうだ。


ふと時計を見ると23時。
特に何もせず、1日を無駄にしちゃったなー。



…とりあえず、お風呂入ろう。

半身浴でもしてリフレッシュするかな。





背伸びをしてテレビの電源を切り、ベッドから片足を下ろす。


すると、あたしを引き止めるように枕元に置いていた携帯電話が鳴った。




画面に映し出された名前は、徳井 奏。





久しぶりに画面上に現れたその文字に驚き、たじろぐ。



「…………」



なんだろう。

久しぶりすぎるのと、3日前のこともあって電話がかかってきている意味がわからない。




仕事一段落したのかな。

………それとも別れ話だったりして。



ていうか、恋人の電話に即座に出れないなんておかしくない?




通話ボタンに親指を添えたままそれを押せずにいると、待ちくたびれたように着信音は止んだ。




止んじゃった、という思いと何だかホッとしたような正反対の思いがあたしの心に渦巻く。




ピンポーン。





携帯電話の次に音を鳴らしたのは、玄関のチャイムだった。