パタパタと駆け寄ってきた彼は、あたしのカバンを優しく奪うと自転車のカゴに入れた。

……サラッと紳士的な行動、反則だよ。くそう。



どうしてもマネの子が腕に絡み付いてる姿が頭を過って素直になれない自分が嫌だ。




「なつこちゃん、怒ってる?」

「んー、怒ってないよ。」



目を合わせず答えた事を後悔しながら、あたしは歩くペースを少しだけ速める。

それでも潤くんはちゃんと同じペースで歩いてくれていて、罪悪感が込み上げてきた。





嫉妬の虜になってる、なんて言えない。
好きって気持ちも、嫉妬して態度に出ちゃうような心の狭い女ってことも、全部ばれる。






「……俺と帰るの、嫌だった?」

その言葉に。





ふと、足が止まった。