好きな人は、






思わず茂みから顔を全部出し、足で無惨なレモン飴に土を被せて埋めるように隠す。


熱々カップルにしか見えない二人の後ろ姿を、あたしは影から涙ながらにぼんやりと見つめていた。



………なんだか、さっきまで浮かれていた自分がものっっっすごく恥ずかしい。





「…………………帰ろ。」





なんだろう、この虚しい感じ。

………ていうか、気まぐれでわざわざ待ってまで一緒に帰ってくれるとか、なんなの。勘違いしても仕方ないじゃん。




ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、あのマネージャーの誘い断って昨日みたいにひょっこり現れて「一緒に帰ろう」って言ってくれるのを期待してたのにさ。




…まぁ脳内お花畑の潤くんにそんな期待したあたしがバカだったか。




鞄からレモン飴を取り出そうとした手が止まる。

気分が合わなかったから、暗い帰り道にポワンと光る自動販売機でミネラルウォーターを買って、一気に飲んだ。