「まじで、ミルクティーぶっかけてやろうかと思った。」
寒空の下、あたしと指を絡めて歩く奏の言葉に硬直。
えっ、と隣の彼を見上げると、あからさまにふてくされた顔。
「別れようとか、まじでこの女しばく、って思った。」
「こ、こわいなあもう。」
「あと、言いたいことあるなら直球で言え。何か言うことないの、ってあれむかつく。俺だって聞きたいわ。」
彼も彼なりに色々と不満があったらしく。
でもまあそれをあたしみたいに口にしなかった彼は、やっぱり少し大人なんだな、と思う。
「……ごめんね。」
「許さん。」
………えー。
前言撤回、やっぱり少し子供っぽい。
「許さん。」
…二回言ったよ。
「……仕方ないなぁ…」
彼の前に回り込んで、握った手指はそのままに。
奏のネクタイを引っ張りながら
唇を近づけ、キスをした。

