好きな人は、








今日、これを目にしたのは二回目だ。








一度目は、この奏のアパートに来る途中。




思い出を噛み締めている途中。








………ジュエリーショップのショーウィンドウで、目にした。








――――仕事頑張って買ってやるから、











あの指輪が、今目の前で、掌の上で光輝いている。









「…なんで……………?」







震える右手で、ダイヤが眩しいそれをそーっと掴む。




リングの内側には、文字があった。







"from Soh to Ako "





間違いなく、あたしの名前と奏の名前。


そして横には、間違いなく、あたし達の記念日。