理由は、財閥のお嬢様だから。 すごくかわいいから。 すごく頭がいいから。 すごく運動ができるから。 いわゆる、“僻み”。 全部、お姉ちゃんに対する僻みだった。 でもお姉ちゃんは、家族の前では絶対に弱音を吐かなかった。 もちろんあたしの前でも。 いつでも笑顔で笑ってた。 どんなときでも、太陽みたいにニコニコ笑ってた。 だから、余計に気づいてあげられなかった。 子供すぎたあたしは、お姉ちゃんが笑っていることがただ嬉しくて、無理して笑ってるなんて考えてもなかった。