決して、強引な太磨の手に心臓が跳ねた訳ではないわ。
「朱い鳥」に心臓が跳ねたの。
遠くの朱い空に、
本当に一筋、
少し色の濃い朱い線…。
それは、
まるで生きている様に、
くねくねと方向を変えながら、
遠くの空を飛んでいた。
「……本当に、居た…」
ドキンと、
まだ胸が高鳴っている。
興奮で身体が少し熱くて、
左肩の肩当てが疼いた。
「……行くぞっ!!」
太磨はそう叫ぶと、
身体を翻して留めてあるラクダの背に乗った。
「……ぇ、え!?行くって…」
「――朱い鳥を追うんだよ!!」
……えぇえぇー…
だって、何で…そんな…
にゃあ!!
『早く早く!!揚羽、早く!!』
キラキラと瞳を輝かせた大人と虎が、私の行動を急かした。
気の乗らない私の腕を、
『グィッ』と強引にラクダの上へ引き上げた太磨。
体勢も整わない内に、太磨はラクダを歩かせたわ。
ひどい話よ。
太磨の胸にしがみつくしか無かったんだから。

