「……ふぁぁあ…」
翌朝、
いそいそとテントの片付けをしている太磨の横で、私は虎白と揃って大あくび。
表面上では気にしていないつもりでも、私の精神的ダメージは大きかった様で、昨夜もあまり眠れていなかった。
こう見えて、
繊細なのよね、きっと。
砂丘の朝は、まるで昼の様だ。
日が昇ったかと思うと、
すぐに私たちを照りつけた。
――…朱い空。
今からこの調子で…無事に渓谷の地まで着けるのかしら…と、果てない遠くの空をぼうっと見上げていた。
「――…ぁ…」
私の瞳が、
「何か」をとらえた気がした。
何かが私の視界をすぅ…と通った様な気がしたの。
でも、どうでも良かったのよ。
にゃっ
『……見た?赤いの…』
「…は?赤いの?」
虎白は私の腕の中で、弱々しく鳴いたかと思ったら、今度は大きく興奮して遠くの空を目で追っていた。
『――はぁあぁっ!!また居たぁ~っ!!赤いの~っ!!赤い火みたいのっ!!』
「……うるさいわね」
赤い火みたいの…?
今度はしっかりと興味を持つように気を付けて、私も朱い空を見た。
どこまでも続く黄色い砂丘。
繰り返す大きな凹凸の向こう。