「…どうしてババ様は中途半端な事をしたの!?虎白の契約者を、わざわざ私にしなければ良かった事じゃないの!?」
「…そりゃ、…そうなんだが…。俺はそこまでは知らねぇよ。龍の巫女様のお考えは深いからなぁ?」
「…はぁ?絶対トンチンカンよ。深かったら、こうはなってないわ!?」
……と、まぁ。
そんな会話をしたのが、
昨夜遅くの事よ。
全てに納得をしている訳じゃないけれど、大体の自分の置かれている現状は把握したの。
全く、自覚無いけどね。
「……登録されていない妖術師、ねぇ…?」
さっき私が呟いた言葉。
そもそも、
『それ以前の問題じゃない!?』
そう怒りたいけれど、
何だか呆れてしまって…、
溜め息しか出ないわ。
誰に怒れば良いのか、
もう分からないもの…。
「……とにかく、何も無い。明日、また連絡するから。あぁ、じゃあな」
そう太磨が手鏡を放る頃には、
すっかり夕闇が訪れていた。
「…夜になっちまうじゃねぇか…。もう、ここにテントを張って休む…」
そう太磨が荷物を漁り始めていたけれど、私はぼけっと空を眺めたままだった。