「…誤解しないで貰いたいのは、美々さんは本当に嬢ちゃんの幸せを願っていたという事だ。少々、…いや大分、強引なやり方だったが…」

強引どころじゃない。

母さん、
貴女が分からない。

籍が無い子供は、幸せ?
私、今後はどうするのよ…。


「…………。」

「…嬢ちゃん?大丈夫か?」

「……容量オーバーよ」

深い溜め息。
両手で額を覆い隠し、何とか冷静を保とうとしていた。


ババ様はこうなる事を予測した上で、それでも、旅に出たいと言う私を村から出した。

母さんが死んで、今は守ってくれてるババ様だって、この先どうなるか分からない。

『成人もした事だ。そろそろ己の事を知っても良い頃だ』と。

ただ…、


「…旅の中で世間を見せながら、徐々に教えるつもりだった。こんなに急に……すまない。」

太磨は深く頭を下げたわ。

予定外だったのは、
花梨さんの行動と言動。

『美々さんの娘だ』と太磨が私を紹介した際の、花梨さんの動揺からすると、彼女は全て知っていたのね。

そして止めようとする太磨を抑えて、彼女は言った。

『もう知らないといけない』

『知らなければ危険も予測出来ない』と…。