記憶 ―流星の刻印―



この瞬間に楽しみを見いだした私も、少し花梨さんと似た部分があるのかしら。

太磨を苛めるのは、楽しいわ。

囁かな仕返しだと思って見逃して欲しいのに、太磨は笑った私を睨んでいた。


『今どこ?何かあった?』

「…何もねぇよ。あってたまるか。何処って言われても、砂ばっかで…」

ブツブツと文句を唱える様に、太磨は花梨さんと話している。

私は止まったラクダの上で、私の前で眠る虎白の背中を撫でていた。


「…本当によく寝るわね…」

虎白は暇さえあれば寝ている。
まだ子供だから疲れやすいのかしら。


『誰か人に会った?揚羽ちゃんの事、バレてないわよねっ!?』

「会ってねぇし、会ったところでバレやしねぇよ…。本人だって分かってねぇんだから。」

いやいや、それは本当に。
報告する事なんて、今のところ何も無い。

太磨の言う通り、
バレやしないと思う。
私に自覚が全く無いんだから。


『あ。今日、龍の巫女様に連絡入れたから。全部言っておいたからね?太磨ちゃん。』

「――ぇ…」

『あれは怒ってるわね~?「もうバレたのかい、ひゃひゃ」って笑ってたけど。』

……ババ様、
笑い事じゃないわよ。