太磨の予想外の行動に、
ポカンとするしかない私。

……何それ。
どうゆう事よ?


にゃっ
『…所長って1番エライ人?』

「……そうね?」

『呼びつけたの?』

「――みたいね?」

虎白のキラキラした眼差し、
……再び。


『…太磨、かっちょいい~っ』

「馬鹿ね、そんな偉い人が本当に来る訳ないじゃないの…。」

私はそう虎白に言いながらも、注意深く太磨を目で追った。

受付口に立つその表情は、自信に満ちていて、ただの「はったり」では無さそうで…。


係員の1人が怪訝そうな表情で、足取りも重くゆっくりと裏に引っ込んだ。
そりゃ、そうよ。

少し経つと…、
今度はバタバタと急ぎ足で係員は戻って来たので、私は目を丸くする。


「――こちらへ!!」

と、その態度は一変していた。


「……嘘でしょ…」

本来は係員しか入れないだろう受付の内部に案内され、扉を1つ抜けると広い長い廊下。

窓の数が多い、
日差しの強いその廊下を歩きながら、腕の中の上機嫌な虎白をよそに、私は再び不機嫌よ。


「……太磨、さっきまでの時間は何だったの?…まさか、無駄な時間だったんじゃ…」

「……休息も必要。」