記憶 ―流星の刻印―



「…荷物も、俺の武器も、全部引き離されちゃ…待つしかねぇだろ。慌てんな、我が姫。」

そう言って、
太磨は大あくび。


「……のん気ね。」

口を尖らせながら、私も仕方無く太磨の横に座った。

瞳を下ろすと、本当に気持ち良さそうに眠る虎白の無垢な顔。
叩き起こしたくなったのを我慢したわ。


入国を待っている同じ立場の人は周りにも何組か居るけれど、そんなに数は多くない。

皆、旅の疲れからか眠りこけていて、話す相手も居ないわ。

だから仕方無く、
太磨に話し掛けるしかないの。


「…ねぇ?ねぇ、ったら?太磨まで寝ないで!暇じゃない!」

「……あぁ…」

そう返事はしてくれるけれど、太磨の瞳は閉じたままだわ。


「さっき難しそうな書類を沢山書いて提出したじゃない?」

「…全部、俺が、な?」

眠くても、憎まれ口はちゃんと返ってくる訳ね?


「…そうね?太磨様が全部書いてくれた書類。あれの中身って何?」

「あ~…2人分の身分証明みたいな書類と、虎白坊ちゃんの契約の証明と~…って言っても分かんねぇだろ?」

「…失礼ね。今後の為に学ぼうっていう私の健気さが伝わらないのかしら。」