記憶 ―流星の刻印―



あぁ、確か…
砂丘の地は言葉通り砂漠だらけで、農地がほとんど無いって聞いていたわ。


「…わしは荷を卸す砂丘の入口の関所までしか行かないが、遠くの空に1羽飛んでるのを見た事があるんだ。聞いた話じゃ珍しい物らしいよ?」

「…そりゃあ驚いた。空を舞う朱い鳥…、話には聞いた事はあるが、実際に見た人がここに居るとは…。」

太磨は目を丸くしていた。
私と虎白は、それがどれ程珍しい事か分からずに、首をひねっていただけだけど。


「あぁ、何年も前に1度だけだがね?燃えている火が空をツゥーと通っている様だった。」

お爺さんは前方の道の凹凸に注意しながらも、その光景を思い出すかの様に興奮して話していた。


にゃっ
『僕も見たいっ。太磨、見れる?行ったら見れる?』

「どうだろなぁ?龍神と同様に、伝説級の物だと思うぞ?」

そう言いながらも、太磨はまるで子供みたいにワクワクしていたわ。

龍神同様に伝説級だなんて…
仮にも龍の巫女に仕える人が、そんな事を言っちゃって良いのかしら。

でも、そうね。

そんな龍神を祀る村に住んでいた私たちだって、実際に龍神を見た事は無い訳だし?


「……絶対に、見れないわよ?絶対にっ…」