にゃ…
『…まだ喧嘩するの~?仲良くしてよ~…もう眠いよぉ…』
私の膝に頭を乗せて瞳を閉じた虎白が、力なく鳴いていた。
気持ち的には、眠るどころか怒りで興奮冷めやらないけれど、確かに歩きっぱなしの足や身体は悲鳴を上げている。
「そうだな、虎白坊ちゃんの機嫌まで損ねては大変だ。明日も早いからな?もう寝るとしよう。喧嘩はまた明日だな?」
にゃっ
『――虎白ぼっちゃん!』
「……何を喜んでるのよ。馬鹿にされてるのよ、あんた…」
『……へ?』
虎白は、
「ただの空気が読めない子」に決定ね…。
「……何だか疲れたわ…」
私の溜め息が、真新しい白いテントの中で大きく耳に響いていた。
太磨はそれに負けない大きな欠伸をすると、当たり前の様にその場で横になった。
それを見て、
私が驚くのは当然の事だわ。
「――あんた…外で寝るんじゃないの?本当にこの狭いテントで一緒に寝る気な訳っ!?」
「…おいおい、何か勘違いしてないか?俺は『龍の巫女様の部下』だ。お嬢さんの部下じゃないからな。同等に扱えって、自分でも言ってたろう?気を遣って外で寝る気はない。」
太磨は目を閉じたまま、顔色も変えずにそう話した。