記憶 ―流星の刻印―



にゃっ
『…何それ。揚羽が「怒りんぼぅ」なだけだよ…』

どうやら、虎としてのプライドが少しはあった様で。
虎白がムッとしながら、私の横に腰を掛けて参戦したわ。

その言葉に対して、
私はムッとしたけれど。


にゃ
『…んもう!揚羽も、おじさんも、仲良くしなよ~。ウルサくて眠れないよ~?』

虎白は小さな鋭い牙を覗かせながら、大きな欠伸を1つした。
その反動で、瞳にはウルウルと涙が溜まっている。


「あんたは黙ってなさいよ、虎白。どうせ言葉はこの人に通じないんだからっ!」

虎白の言葉は、
同じ耳飾りの片割れをしている私にしか分からない。
そのはずだった。


「…いやいや、虎白くんの言う通りだ。俺も考えは改める。お嬢さんも、俺に敵対心を持つのは止めてくれ。ギスギスと旅するのは好きじゃない。」

「――…だから『お嬢さん』は止め……!!…ぇ?」

にゃ?
『あれ!?おじさん分かるの?』


太磨は「あぁ」と頷くと、自分の片耳を「ほら」と指差した。

そこには私たちと同じ、蒼い石がついた耳飾りが揺れていた。
でも、少し形は違う。