記憶 ―流星の刻印―



「――ちょ…ちょっと!!何で、あんたまで入って来るのよ!?」

「……我が姫は、夜冷える中、私に外で寝ろと仰るのですか…。襲いはしませんから…」

グイグイと入口付近で私を押し込み、自分はすぐに中に座り込むと、私にも「座れ」と地べたを二度叩いた。


「……どうやら、私たちには話し合いが必要な様だ。」

太磨は目を細めて笑った。
その今までに無い柔らかな表情に私は驚いて、立ったまま口を動かした。


「…話し合いはいらないわ。…ってゆうか、あんた帰って良いわ?ババ様の命令に背けないから渋々居るんでしょうけど、お互いの為にならないわ。ババ様には黙ってるから、あんた仕事放棄してよ。」

「ははっ……そうはいきません。とりあえず座って下さい、我が姫…?」


「……――まず、その呼び方を止めてっ!!馬鹿にされてて、嫌味がこもってて、本当に腹が立つわ!!」

「…………。」

太磨は黙ったわ。
私の瞳を真っ直ぐに見て。


にゃ
『……揚羽、怒りんぼぅ』

「…うるさい、虎白」
『ぴぎゃ』

ジロッと虎白を見ると、
虎白は寝床の柔らかな布にスッと身を隠したわ。

ヘタレなんだから、
口を挟まなければ良いのにっ。