記憶 ―流星の刻印―



その夜、

「……さぁ、出来ましたよ」

太磨は自分の背負った荷物から大きな白い布を取り出すと、器用に慣れた手付きで宿泊用のテントを作り上げた。

今夜は予定より大分遅れをとってしまい、幾ら頑張っても次の村までは着けない状況に陥ってしまった。

不覚にも、
仲間から追い出すはずの、太磨の世話になってしまった訳。


『――わぁい!テントぉ!』

現金な虎白は、一目散にテントの中に駆け出した。

太磨はその様子を目を細めて見守ると、今度は「どうぞ?」と入口部分の布をめくり上げて、私に入る様に促した。

……不覚。
ちょっと、
頼りになるじゃないの…

「……有り難う」

そう呟いて、
横を過ぎようと太磨に目をやると、失礼すぎる程に驚いて目を丸くしていた。


「………何よ」

「…いいえ?少し驚いて…」


「――失礼ねっ。私だってお世話になったら、感謝の言葉くらい言えるわ。礼儀くらいあるわ!!どれだけ子供扱いよっ!!」


――やっぱり、ムカつくっ!!

やっていけないわ!!
絶っ対、
明日にはこの男から逃げ出してやるわっ。

そう意気込んでテントに入ると、勿論のこと外で寝るだろうと思っていた太磨まで中に入ってきた。