記憶 ―流星の刻印―



虎白は怒る私に大分慣れてきたのか、それとも空気が全く読めないのか、平然と鳴き続けた。


『だってさ~、昨日の夜だって着くはずの村に、大分遅れて着いてさ?真夜中だったよぉ?』

「……どの口が言うのかしら。だったら、あんた自分の足で歩きなさいよ。」

虎白は案の定、
予想通りに…、いや、それ以上に、私の肩から下りない。


『……ぇ。ほら、僕…まだ足が痛いし?ねっ?』

「……へぇ」


『それにっ僕、子供だから?僕の歩幅じゃ余計に遅くなっちゃうし、ねぇ?』

「…へぇ、そう」

その言い訳は聞き飽きた。
私は虎白に関しては諦めたの。

今、
最も重要なのは、
どうしたら太磨をまいて逃げれるかって事。

もう帰ってくれないかしら。
放っておいてくれないかしら。

楽しい旅が台無しよ。


私はその後も、
私を急かす「背後からの雑音」を無視し続けて進んだ。