「……はいはい」

そう両手のひらを私に向け、
人を馬鹿にした様に肩をすくめて見せた、

この中年男の名は、「太磨」。


ババ様が私に付けた保護者。
いらない保護者よ。


ババ様こと、
「龍の巫女」に長年仕える部下らしいけれど、そんな事は私には関係ないわ。

どうせ付けるなら、
もっと若い部下をお供にしてくれれば良いのにっ。

私と10歳以上は離れてるだろう「おじさん」よ?


何に腹が立つかって?

私を見下した馬鹿にした態度。
てんで子供扱い。


――…更には。


「しかしですね…、未だ草原の地とはいえ、日が暮れては危険ですから、我が姫。」

「――っ!!」


――その呼び方よっ。

何なのかしら。
馬鹿にするにも程があるわ。

「我が姫」…!?
あんたの姫になったつもりなんて、こっちには無いってのよ!!


私は「ふんっ」と鼻息を荒げて視界を前方へ移すと、再び黙々と林道を進み始めた。


にゃぁ。
『…揚羽ぁ、おじさんの言うとおりにしようよ~』

「……は?」

不機嫌な私は、
虎白にまで乾いた返事をする。