「あら。それに、虎白は契約の首輪してないじゃない。」
私の言葉にババ様も頷く。
そうなの。
獰猛な動物を連れて出歩く場合、この四彩華ではちゃんと国に申請して、「契約の首輪」を動物の首に付ける事が決まっている。
詳しくは知らないけど、
ババ様に貰った耳飾りと、同じ仕組みなんじゃないかしら。
その首輪と契約者は妖術で繋がっていて、契約者が動物の暴走とかを止められる様に管理するらしいわ。
要は、拘束具よ。
じゃあ虎白はどうなんだって?
別に違反しようと思って違反した訳じゃないわよ?
まだ子供だし。
だってペットだし。
出歩かせてはいないし。
更には獰猛じゃないし。
一番厄介なのは、
契約者が「妖術師」じゃないと申請出来ないのよ。
だから、
私には無理って訳。
「…不思議な虎だな…。まるで意図的に…誰かに形跡を消されたかの様なんだよ…。」
ババ様はじーっと、
虎白を疑う様に見ていた。
「…形跡を消す?例えば、それが出来る人が居るの?」
「…出来たとして、かなりの腕前の妖術師だろうね?術を掛けたという形跡すら残さないんだから…」