嫌がる虎白を無理に連れ出して、ババ様と対面させたはいいけれど…、

虎白は私の腕の中で、
ずっとビクビク震えていた。


「……さて、ちょっと手荒な真似をするからね。ちゃんと虎を捕まえておいておくれ?」

ババ様はそう言うと、
懐から何かを取り出した。


「…何?手荒って…、それをどうするの?」

ババ様が手に持ったのは、
蒼い石のついた古びた耳飾り。


「…これは昔から持っていた物でね…。揚羽、虎をしっかり持ちな。逃がすんじゃないよ?」

「……へ?」

ぎゅっと、逃げようとする虎白を抱き締めて、私はババ様の手先を見つめた。

「……ぁ。」


――プツンと、
小さな音がした。

……にゃあぁぁあぁ!!

部屋中に響いたのは虎白の痛がる悲鳴。
ババ様は虎白の小さな白い耳に、耳飾りの針を通した。


「…もう離していいよ。」

私が手をゆるめると、虎白はフーフー言いながら床に逃げ降りてババ様から距離をとった。


「…耳飾りを虎白に付けて、どうするのよ?」

「揚羽、お前はそれのもう片方の耳飾りをしてみな…」

ババ様から耳飾りを受け取ると、私は首を傾げながら自分のしていた耳飾りを外す。