記憶 ―流星の刻印―



決して偉ぶっている訳じゃないんだけど、ババ様の周りにはいつもピリピリした空気が漂っていて、確かに…なんていうか、近寄り辛いし不気味ではあるわね。


「……実はもう知っていて、そこまで来てたりして…」

「――ちょっと!蓮ったら、脅かさないでよ!!」

ババ様の顔が脳裏にチラついて、私たちは苦笑いしか出来なかった。


「…聞いた話だと、人の空気とか気配を感じる事が出来て、村のちょっとした変化にも気付くとか…」

そう蓮が声を潜めて話している途中だった。


――…トントン。

家の扉が叩かれた瞬間、
私たちは「ビクッ!」と揃って肩を震わせた。
私たちは一斉に、扉の向こうに恐る恐る耳をすませる。

聞こえるのは風が揺らす木々の音と、遠くからホゥホゥと夜鳥の鳴く声。


――…トントン…

再度、扉は叩かれた。


まさか、でしょ…
嘘でしょ…?

私たち3人は息を殺して、互いの目線だけで会話していた。


「……はい?」

そう声を出したのは、年長者である蓮だった。