記憶 ―流星の刻印―



私が太磨に感想の合いの手を求めると、太磨も顔色1つ変えずに冷静に言ったわ。


「…そうだなぁ。あまり朱雀の力に頼り過ぎると、自分の体力が下がるぞ?」

「……もぅ…いいです…。からかいがいの無い…張り合いの無い人たちだ…」

朱理はガックリ肩を落としていたけれど、私たちは平然と足を進めていた。

最後尾で立ち止まる朱理と、距離が開き始める。


「…ちょっと、朱理!!早く歩きなさいよっ…!!本当に…置いてくわよっ…!?」

「……歩きます!!歩きますよっ!!行けばいいんでしょっ!!」

本当に青二才ね。
私より年上のくせに、
呆れちゃうわ?

呆れちゃう…といえば、

にゃあぁ!!
『…揚羽っ!!太磨の膝枕は僕のだよ!?僕の専用なんだよっ!?ねぇっ太磨!!』

うるさいのが1匹、
周りで、ちょこまか叫んでいたけれど。

…だから、
これ以上の無駄な体力を使わせないでって、言ってるじゃないの…。


四獣を隔てるという、
四彩華の中心にそびえる山よ。

一体、この足で何日登り続ければ良いのか…、検討もつかないわ。

私たち、序盤からこの調子で大丈夫かしら…。


でも、
その心配は、
幸いすぐに安堵に変わったわ。